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人材教育の株式会社総合教育研究所

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長寿企業の成功法則(4)

―事例企業―

 今号では、「百年続く企業の条件/朝日新聞出版」から、長寿企業の事例として二社を取り上げることにします。
◆虎屋
虎屋は、みなさんご存知の和菓子を製造している会社です。創業は、約480年前の室町時代です。京都の地で、歴代天皇や宮家、摂関家などの御用菓子屋の地位を確立していきました。幕末の混乱などを経て、御所の東京遷都にともない、引き続き御用を勤めるために東京に出店します。今でこそ、庶民たる私たちも、色鮮やかな和菓子をお店で、欲しい時に欲しいだけ手に入れることができますが、近世までは、庶民には程遠い、高値の花でした。
≪不易≫さて、現代の虎屋はどのような経営判断をしているでしょうか。
2003年、東京・六本木の六本木ヒルズ内に、新しい業態として「TORAYA CAFE」をオープンしています。ここのメニューは伝統的な和菓子ではなく、和と洋を単純に融合させたものでもなく、「虎屋がつくる独創的なもう一つのお菓子」をコンセプトとした菓子です。見た目は洋菓子のようでも、和菓子のアイデンティティである「あん」や「小豆」を見事に生かした創作菓子です。
このような伝統の技法や製品らしさを継承しながら、一方では、時代の流れとともに、菓子のあり方を模索し続ける企業文化こそ、老舗を語るうえでキーワードとなる「不易」(新しいものを取り入れながらも、その本流は決して変わらないこと)です。
2007年には、東京・六本木の東京ミッドタウン内に、今度は、和菓子販売と喫茶「虎屋菓寮」に加えて、常設のギャラリーを併設して、三ヵ月ごとにテーマを決めた展示や和の小物の販売など、「和菓子に関わる日本文化の魅力を伝える」取り組みをしています。これらの取り組みは、とらやのお客様の年齢層を広げています。
≪風土を引き継ぐ掟書≫一つ、ビックリすることがあります。この東京ミッドタウン店出店のプロジェクトリーダーは、社内公募で抜擢された当時25歳の女性です。旗艦店の一つとなる店舗のプロジェクトリーダーに、まだ経験の浅い社員を任命できるのは、年功にとらわれず、良い人材を登用するという社風が根付いている証でしょう。実はこの背景に、1805年、九代当主の光利が策定した、店員の心得や行動規範を記した『掟書』があります。その中に、『仕事はそれぞれが得意なことに励み、上の者が下に教えること。落ち度があった場合は遠慮なく注意しあうこと。常に書道や算術の勉強を行うこと』など、従業員が自由闊達にものを言える風土や、自発的に自己啓発に努めることが謳われているのです。
創業以来、「おいしい和菓子を喜んで召し上がっていただく」という経営理念を変えることなく、絶えず進化を続けているところが、老舗たる所以と言えるでしょう。
 
◆福田金属箔粉工業株式会社
福田金属箔粉工業は、その名の通り、京都・室町で金属箔・金属粉を製造する企業です。その創業は、今から300年以上前の元禄年間です。
明治時代までは金屏風や仏壇、仏具に使用される金銀箔粉を家内工業的に製造していた小さな組織でしたが、現在では、自動車、携帯電話、パソコンなどIT分野など最先端の機器に使われる金属箔や金属粉を幅広く製造する会社に生まれ変わっています。
≪きのうと違うことをやる≫「伝統とは変革の歴史である。毎日、きのうとは同じことをしないで、最適なことを行うように努めてきました」という姿勢と、手にしたハンマーで箔を叩いていた時代から、水力、電力と手段は変わっても、「箔はより薄く、粉はより細かく」という仕事の目的を変えない姿勢には、老舗の誇りを感じます。日々技術革新の成果として、2005年には、「第一回ものづくり日本大賞内閣総理大臣賞」を受賞しています。
≪300年以上企業が継続してきた理由≫林社長は、「駅伝ランナーと同じですよ。人によってスゼードが速かったり遅かったりするように、いい時代も悪い時代もあった。しかし、一人ひとりはしっかりと走った。次へ託す気持ちが強かった。今、社長としての自分に課せられている役割は、いかに次の代にバトンタッチをするかということだと考えています」。
≪親子代々入社する「歴代社員」≫福田金属箔粉工業には、親子二代、三代にもわたって勤める社員が数多くいます。親子代々が入社する理由を、「いつの時代でも、会社が社員を大事にしてきたからだと思います。会社から大事にされていなかったら、家で会社の悪口を言うこともあるのではないでしょうか。父親と同じ会社に入りたい、自分の子供をこの会社に入れてもいいと感じてもらえるのは、社員本人たちが大事にされているという自覚を持っているからだと思います」と林社長は語っています。感動しますね。父親の働く姿を通して、会社が単なる稼ぎの場ではなく、自己実現にふさわしい場であることを感じとれるんですから。
やはり、その背景には、二代目の福田練石が記した「家の苗」という、福田家の家訓があります。「お客様には誠実に接し、振る舞いに気をつけること。祖先への恩恵の気持ちを忘れないこと」などといった内容で現在も受け継がれています。企業が存続するには、この「家の苗」が社員に浸透し、共有されていることが、二代、三代の「歴代社員」を生んでいるのでしょう。
| 長寿企業の成功法則 | 23:07 | comments(0) | trackbacks(0)
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